食・楽・健康協会は糖質制限に関しての多岐にわたる活動を行っております

食・楽・健康協会

理事からのメッセージ

山田悟理事顔写真

代表理事:山田悟北里研究所病院
糖尿病センター長

メタボ(メタボリック・シンドローム)、この言葉を聞いたことのない方はおられないでしょう。
内臓脂肪の蓄積を背景にして、血糖異常、脂質異常、血圧異常を併発し、結果として健常者に比較して30倍もの動脈硬化症(脳卒中や心臓病)を合併する病態です。

このメタボと動脈硬化症の間に糖尿病が存在しますし、最近ではメタボ→糖尿病→動脈硬化症の流れと同様にメタボ→糖尿病→がんという流れも存在することが分かっています。つまり、日本人の死因の一位であるがん、二位である心臓病、三位である肺炎、その肺炎の背景因子となる脳卒中、いずれもメタボの下流に位置するのです。

では、メタボの上流には何があるでしょうか?それは、食べすぎと運動不足です。
その一方で、耐えるだけの食事療法や、きついだけの運動療法には継続性がなく、意味がありません。そこで、私たちは、消費する個人の健康に有益で、それゆえに市場価値が高く、結果として日本人全体の健康寿命の延長、医療費の削減に有効な食事療法、運動療法、中でも手始めに食事療法を世に広めていくこととしました。

40歳以上の3人に1人が困っているということは企業にとってのマーケットでもあります。
それを私たちが社会的な問題の解決という形で両者を結び付け、問題を解決するという形で美味しく楽しく食べて健康になるという世界観を普及させていくことで、社会全体の医療費の削減も目指しています。
つまり、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という概念を広めていきたいのです。そして、これらの治療法の価値を目に見える形で実感するには簡易血糖測定が必要だと考えています。簡易血糖測定はわずか1滴の血液で数秒で血糖を測定できる簡単な手技です。糖尿病患者さんに簡易血糖測定をしていただくことにより、血糖が改善し、生活の質も向上するという結果が得られています。

欧米のガイドラインでは糖尿病治療の一番はじめに(食事、運動、薬物の説明の前に)血糖測定の重要性が記載されています。しかし、一般的な健康診断における空腹時採血では、日本人に多い食後高血糖に気づくことはできません。メタボの方に多いとされる食後高血糖に気づき、生活習慣を振り返るには簡易血糖測定の普及が必要なのです。

以上のように、私たちは、糖質制限食に代表される幸せで続けたくなる食事療法の有益性を医療従事者に啓蒙し、その意義や提供法を食品メーカー、流通業界、料理人の方たちに知らしめ、さらに、簡易血糖測定を世に普及させ、将来的には楽しくて続けたくなる運動療法などをも合わせて広げることをもって、日本あるいは世界における疾病予防・医療費削減を図りたいと考えています。

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